シンポジウム 癌性疼痛に対する各種治療法の適応と限界
緒言
富田 勝郎
1
1金沢大学医学部整形外科
pp.259
発行日 1993年3月25日
Published Date 1993/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901068
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癌の痛みで苦しむ患者を目の前にしますと私達は整形外科医という枠を越えて一人の人間として正視に耐えられないものを感じます.それは単に肉体が蝕まれるのに伴う痛みを医学的に観察するからだけでなく,患者が本能的に死の恐怖と闘っている叫びをそこに見るからであり,確実に迫ってくる死に対して何らなす術がない無力さを感じるからでしょう.
昨年(1992)の日本脊椎外科学会は「脊椎とその周辺からの痛み」というテーマが掲げられ,主題の一つに「各種治療法の適応と限界:癌性疼痛」が取り上げられました.この誌上シンポジウムはそれを一歩進めた形のもので,癌性疼痛,特に脊椎への癌転移に伴う激痛に対して,整形外科医が目をそらさず対応していくためのヒントを見い出すのが狙いです.
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