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誌上シンポジウム 整形外科におけるリスクマネジメント
緒言
Preface
菊地 臣一
1
Shin-ichi KIKUCHI
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学
pp.854-855
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100153
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この誌上シンポジウムは,第53回東日本整形災害外科学会(会長 山形大学医学部整形外科教授 荻野利彦先生)のシンポジウムを,荻野教授の許可を得て本誌に再現したものである.
医療現場は,今,リスクマネジメントへの対応に追われている.近年は,医療システムや卒前・卒後教育の制度変更に対応するために,医療教育機関が負担しなくてはならない人的,時間的コストは膨大なものになってきている.これら制度改革への対応に,さらにリスクマネジメントの観点から医療機関としての対内・外対応が加わり,それらの業務の多くを若い医師が担っているのが医療教育機関の実情である.その結果,今や契約による何の保証もない若い医師が疲労困憊して職場を去りつつある.文字通り,リスクの少ない,そして経済的見返りの多い職場への退避である.今の苛酷な若手,中堅医師の職場環境をみると,私でも恐らく怯んでしまう.今後,地方の中小医療機関や診療所ではこの大きな改革の嵐に対応できるのであろうか.頑張ったら頑張っただけ苦労とリスクを背負い込む勤務医の現状は,医療教育機関の消滅へと繋がってゆく危惧さえする.そのくらい,このリスクマネジメントは,今,教育機能を有する病院に重い負担で伸し掛かっている.
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