シンポジウム 縮小手術への挑戦―縮小手術はどこまで可能か
緒言
富田 勝郎
1
1金沢大学医学部整形外科
pp.532-533
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903537
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
四肢の悪性骨軟部腫瘍の手術,なかでも広範囲切除の考え方は,Ennekingのcompartment/barrierに代表される腫瘍切除縁の提唱により,またこれを受けた日整会骨軟部腫瘍委員会の「悪性骨軟部腫瘍取り扱い規約」の指針によって広くゆきわたり,現在に至っている.もちろんこの考え方の根本には,不適切な切除によって局所播種や局所再発,ひいては遠隔転移させてはならないという,生命予後を見据えた考えが大きく関与している.
しかし,広範囲切除により延命・救命率が上がるにつれ,温存された患肢の機能をどれだけもとどおりにまで高めることができるか,が次の重要課題となってきた.そうしてみると,広範囲切除にともなって当然のこととして犠牲としてきた「神経・血管・骨・骨端線・関節・筋肉・腱・靱帯」などの組織の切除範囲をなんとか縮小できないものか,それは果たして許されることなのか,が学会・研究会でのホットな議論対象となってきつつ現在に至っている.そのために,安全な縮小切除縁への見直しや,縮小切除縁を確保するための集学的治療,とりわけ術前・術後の各種補助治療の重要性が再認識されるようになっている.その代表的な見解,試みが特集としてここに紹介されている.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.