視座
超高齢社会における運動器疾患の未病と医療
八木 満
1
Mitsuru YAGI
1
1国際医療福祉大学医学部整形外科学
pp.745
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408203016
- 有料閲覧
- 文献概要
未病とは,病気になる前の状態,つまり病気に至る前段階の身体や精神の不調を指します.この概念は,中国の伝統医学に起源を持ち,病気の予防や早期発見,早期治療に重点を置く考え方です.運動器疾患における未病の概念は,特に超高齢社会である日本において重要性が増しています.この段階での適切な対応は,重篤な運動器疾患の予防,高齢者の健康維持,そして生活の質(QOL)の向上に直結します.未病の早期発見と対策には,生活習慣の見直し,定期的な健康診断,そして自己管理の徹底が必要であり,これにより運動器に関する微小な変化や不調を早期に捉え,適切な介入が可能となります.
未病の早期発見と予防には,ライフログの取得やAI,機械学習を用いた疾患予測モデルの研究の推進が非常に重要です.これらの技術を活用することで,個々人の健康状態や生活習慣から未病の段階でのリスクをより正確に,早期に識別することが可能になります.ライフログから得られるデータを分析し,AIと機械学習技術によって未病の状態や疾患のリスクを予測するモデルを開発することは,個人の健康維持・向上に寄与するだけでなく,医療費の削減や社会的負担の軽減にもつながります.AIと機械学習技術の進歩により,これらのデータから複雑なパターンや関連性を識別し,未病状態や疾患リスクを予測するモデルの開発が可能となります.これにより,従来の方法では見過ごされがちだったリスク要因を明らかにし,個別化された予防策を提案することができるようになります.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.