特集 歯科口腔保健を巡る話題
超高齢社会における8020運動の現状と課題
深井 穫博
1,2
1深井保健科学研究所
2日本歯科医師会
pp.97-101
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102655
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はじめに
団塊の世代が65歳に達した2012年,わが国の高齢者人口は3,000万人,高齢化率は24.1%となり,百寿者の数も50,000人を超えた1).
この超高齢社会のなかで,2011年8月,「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された.この法律の第一条に,「口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしている」と明記された.翌2012年7月には,「国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」が大臣告示の形で示された2).このなかで,歯・口腔の健康は,健康寿命の延伸と健康格差の縮小,生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底[NCD(非感染性疾患)の予防],社会生活を営むために必要な機能の維持および向上等を実現するための基本要素と位置づけられている.
このように,歯・口腔の健康が,全身の健康を維持増進するための基礎的なものとして,法律と施策のなかで位置づけられるようになったのは,口腔と全身の健康に関する疫学データと基礎研究が,今世紀になり次々と報告されるようになってきたことがその背景となっている.
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