視座
国に杖つく? 超高齢社会と運動器
高木 理彰
1
1山形大学医学部整形外科学講座
pp.441
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102691
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『礼記』は周から漢の時代にかけて儒学者がまとめた礼に関する書物を編纂したもので,その中の「王制」篇では高齢者の恩典が記され,老人が杖をついてよい場所を50歳で家の中,60歳で住まいする地域,70歳では国中としている.80歳では朝廷でも杖をつくことも許された.転じて,郷に杖つく(杖郷),国に杖つく(杖国)は,それぞれ60歳,70歳になることをさす.
65歳以上人口が15%を占めると高齢社会,22%以上は超高齢社会と言うそうで,2005年に超高齢社会となった日本の高齢化率は,2年前の調査で23%を超えた.山形県の高齢化率は28%に迫り,全国第5位.山間部では36%を超える地域もある.大学病院の救急外来に搬送される高齢者の割合は大きくなる一方で,整形外科病棟で治療を受ける患者の高齢化からも超高齢社会の運動器医療の現実がみてとれる.ご高齢の方はさまざまな併存症や障害を抱えている場合が多く,あれこれ合併症のリスクなどに苦労しながら治療にあたっている.
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