増大号特集 絶対! 整形外科外傷学
column
働き方改革と整形外傷専門医
井口 浩一
1
Koichi INOKUCHI
1
1埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター・外傷センター
1Department of Emergency and Critical Care Medicine, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
pp.715
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408203006
- 有料閲覧
- 文献概要
大腿骨近位部骨折に対する受傷から48時間以内の手術が,わが国でも行われるようになってきた.Early appropriate careと呼ばれる戦略では,骨盤,大腿骨,寛骨臼,脊椎の骨折に対し,受傷から36時間以内に最終的な骨接合術を行うことを推奨している.開放骨折だけでなく,閉鎖骨折でも緊急手術や準緊急手術を行うべきだとのプレッシャーがかかる時代に突入した.手術のタイミングを手術室や医療者の都合で遅くすることで,患者に不利益をもたらすのであれば根絶するべきであろう.
一方,働き方改革で時間外の手術を行える病院が減る可能性が危惧される.そうなると,整形外傷の手術を行える病院は減少するのではないだろうか.整形外傷患者の集約化が今後進行する可能性が高まっている.わが国には外傷センターの認定制度は存在しない.しかし整形外傷患者の集約化を目指している病院は,他の病院との違いを明確にするために外傷センターを名乗るようになってきた.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.