胸部外科医の散歩道
働き方改革―その先
新田 隆
1
1日本医科大学
pp.1124
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu73_1124
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- 文献概要
数年前から国を挙げて進められている働き方改革は,医師とりわけ胸部外科医に多くの難題を投げかけている.心臓や肺,食道といった胸部重要臓器の疾患に対する外科治療では,特に重症例では直接生命にかかわる場合も多く,働き方改革を優先していたら重症患者を救命できないという意見も聞かれる.若手医師に対しては,医師としての基本的修練や専門医取得に向けた研鑽を,適正な就労条件をもって提供する必要がある.当直業務に加えて緊急手術や長時間手術などが多くなると,既定の労働時間の枠には収まらなくなる.しかし,短時間で予定通りに終わる定型的手術の研修だけでは,胸部外科各領域の将来を背負って立つ医師の修練として十分ではない.治療困難症例への対応やトラブルシューティングこそが臨床研修で学んで欲しい事項である.
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