特集 わかる! 骨盤骨折(骨盤輪損傷) 診断+治療+エビデンスのUpdate
緒言
野田 知之
1,2
Tomoyuki NODA
1,2
1川崎医科大学運動器外傷・再建整形外科学
2川崎医科大学総合医療センター整形外科
pp.1049
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202430
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骨盤骨折は骨盤輪損傷と寛骨臼骨折に大別されるが,いずれも整形外科医にとって最も治療に難渋する外傷の代表格と言える.なかでも骨盤輪損傷は生命に危険が及ぶ可能性もあり初期治療においては,救命のための迅速なアプローチも必要となる.以前は救命されても保存的に治療され,疼痛や大きな機能障害を残すことが多かった本損傷であるが,救急医療の発展による救命率の向上と本損傷に対する診断法・治療法の進歩によって,治療成績は飛躍的に向上してきている.しかしながらこの良好な治療成績獲得には,救命から再建・リハビリテーションまでの一貫した治療が,複数の診療科や多職種のチーム医療によって適切に行われる必要がある.
一施設や一個人で経験できる症例数がそう多くない本損傷の診断や治療は,個々人の経験論に負うところが大きかったり,適応をおざなりにして手術テクニックに偏重した議論が行われたりする傾向があった.本特集では近年注目されてきている初期治療の変化や,麻酔下でのストレス検査による手術適応の決定など,最新の知見やエビデンスをできるだけ紹介いただくようにし,また経験豊富な先生方にご自身の行っている手術法の詳細とその成績についてご執筆いただいた.
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