シンポジウム スポーツ肩障害の病態と治療
緒言
高岸 憲二
1
1群馬大学医学部整形外科
pp.660-661
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903559
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近年,スポーツに起因する肩の障害がクローズアップされており,肩の障害をもったスポーツ選手が整形外科を受診する機会が多くなっている.肩のスポーツ障害には多くの病態が含まれているが,overuseを原因として次第に器質的な変化に発展していくと考えられている.例えば,肩のスポーツ障害として多くみられる投球障害肩の発生機序として,投球を繰り返すことで引き起こされる後方関節包の拘縮と前方安定化機構不全のために,late cocking phaseでの前方動揺性,後方部でのposterior impingementなどや腱板筋不全によるインピンジメント症候群などがある.しかし,疼痛などの症状がスポーツをしている際にのみ起こることも多く,外来診察時に同様な症状を発現させることは難しく,障害部位を正確に決定し難いことをよく経験する.
広範な可動域と多様な動きを要求される肩関節には,多くの関節と構成体がある.障害部位をできるだけ正しく診断するためには,肩関節機構などの機能解剖や運動時の筋活動などを理解して,現病歴で患者からできるだけ障害に関する情報を集めてそれらを分析して評価することが大切になる.更にMRI,超音波をはじめとする画像診断の進歩,肩関節鏡検査の発達によりスポーツ障害肩に対する診断法は大きく変わってきた.
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