誌上シンポジウム 外傷における人工骨の臨床
緒言
名井 陽
1
,
最上 敦彦
2
Akira MYOUI
1
,
Atsuhiko MOGAMI
2
1大阪大学医学部附属病院未来医療センター
2順天堂大学医学部附属静岡病院整形外科
pp.1046
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201230
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人工骨は1990年代後半から2000年代にかけて,素材,微細構造,強度,吸収性,形状などで様々な工夫と技術を実装した各種製品が市販されるようになり,これとともに骨移植機会における人工骨の使用比率が爆発的に増加し,現在の整形外科治療において欠くことのできない医療機器として位置付けられるまでになった.こと整形外科外傷関連疾患の治療においても,新鮮骨折,変形治癒,偽関節,巨大骨欠損など,様々な病態において人工骨の使用が試みられている.まだまだ系統的なエビデンスがそろっているわけではないが,脛骨プラトー骨折の関節面沈下防止の目的の骨移植などでは,以前より人工骨の使用について一定の有用性を示す臨床成績が報告されている.一方で,骨折に代表される外傷部位は,受傷時の外力により荒らされた,いわば“戦場”ともいうべき通常とは異なる状況を呈している.また外傷は四肢・体幹のあらゆる部位に異なる状況で発症する極めて多様な病態である.よって,整形外科外傷治療における人工骨の使用においては,その部位・状況に応じた適材を適所に用いることが求められる.
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