境界領域/知っておきたい
筋萎縮性側索硬化症—脊椎脊髄疾患と誤診しやすい神経内科的疾患
安藤 哲朗
1
Tetsuo ANDO
1
1安城更生病院神経内科
pp.1020-1022
発行日 2018年11月25日
Published Date 2018/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201221
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筋萎縮性側索硬化症の概略
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral screlosis:ALS)は,主に中年以降に発症し,一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である.病勢の進展は比較的速く,人工呼吸器を用いなければ通常は2〜5年で死亡することが多い.日本におけるALSの発症率は,1.1〜2.5人/10万人/年であり,有病率は7〜11人/10万人と推定されている.ALSのうち約5%は家族歴がある1).
ALSは発症様式により,①上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で,下肢は痙縮を示す上肢型(普通型),②構音障害,嚥下障害といった球症状が主体となる球麻痺型,③下肢から発症し,下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ,二次運動ニューロンの障害が前面に出る下肢型の3型に分けられることがある.これ以外にも,呼吸筋麻痺が初期からみられる例や体幹筋障害が主体となる例,認知症を伴う例もある.上肢型は頚椎症との鑑別が問題となり,下肢型は腰椎症との鑑別が問題になる.
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