最新基礎科学/知っておきたい
特発性大腿骨頭壊死症の全ゲノムレベル相関解析
坂本 悠磨
1
,
中島 康晴
1
,
山本 卓明
2
,
岩本 幸英
3
,
池川 志郎
4
Yuma SAKAMOTO
1
,
Yasuharu NAKASHIMA
1
,
Takuaki YAMAMOTO
2
,
Yukihide IWAMOTO
3
,
Shiro IKEGAWA
4
1九州大学整形外科
2福岡大学整形外科
3九州労災病院整形外科
4理化学研究所生命医科学研究センター骨関節疾患研究チーム
pp.1014-1018
発行日 2018年11月25日
Published Date 2018/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201220
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特発性大腿骨頭壊死症とは
特発性大腿骨頭壊死症(osteonecrosis of the femoral head:ONFH)は,大腿骨頭が虚血により壊死する原因不明の難病であり1),具体的な本症の発生機序,すなわち虚血のメカニズムは解明されていない.壊死部が圧潰すると変形性股関節症へと進展し,股関節痛や機能障害を引き起こす.日本全国で毎年3,000人程度の新規患者が発生し,20〜60代の青壮年に好発する2).
疫学研究によりステロイド治療やアルコール飲酒が本症発生と関連することが判明している(ステロイド関連ONFH・アルコール関連ONFH)が3),これらと関連なく本症を発生する患者も存在する(狭義ONFH).また,ステロイドやアルコールなどの関連因子を有する人が皆本症を発生するわけではなく,疾患感受性(病気のなりやすさ)には個人差がある.ゆえに,本症は多因子遺伝病であり,環境因子(ステロイドやアルコール)と遺伝因子の相互作用により発生すると考えられている.
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