誌上シンポジウム 外反母趾の成績不良例から学ぶ
緒言
仁木 久照
1
Hisateru NIKI
1
1聖マリアンナ医科大学整形外科学講座
pp.761
発行日 2018年9月25日
Published Date 2018/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201166
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外反母趾の治療はまず保存療法を試みる.保存療法で疼痛は軽減できても,変形は矯正できない.手術は「外反母趾診療ガイドライン2014」にもあるように母趾外反角(HV角)の程度で使い分ける.変形が重度になり母趾が第2趾の下に入り込むと,第2中足趾節関節が脱臼し外側趾変形を伴う.さらにLisfranc関節症を伴うと足背の疼痛や骨性膨隆を訴える.外反母趾といっても複雑で多様な病態を呈し,母趾のみの処置では患者の満足度を得ることは難しい.私自身,足の外科に携わってから長い年月が過ぎ,多くの手術にかかわってきたが,外反母趾手術はいまでもかなり気を遣う.
以前,外反母趾手術で第1中足骨を短縮すると外側趾中足骨頭痛(transfer lesion)が生じるので,第1中足骨の短縮は禁忌であった.しかし,近年ではある程度の中足骨短縮は矯正を容易にし,術後可動域の獲得にも優れることが指摘され,手術に対する考え方が根本的に変化した.各症例の病態に合わせた,あるいは合わせられる術式を選択することが求められるようになったのである.
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