誌上シンポジウム 患者の満足度を高める関節リウマチ手術
緒言
仁木 久照
1
Hisateru NIKI
1
1聖マリアンナ医科大学整形外科学講座
pp.1198
発行日 2019年12月25日
Published Date 2019/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201531
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関節リウマチ(RA)の治療の進歩,特にメトトレキサート(MTX)や生物学的抗リウマチ薬(bDMARD)など関節破壊抑制効果を有する抗リウマチ薬の普及により,人工関節置換術をはじめとする整形外科手術を必要とする症例は減少することが期待されている.海外のNational Registryや大規模研究に基づいた研究では,大関節である股関節や膝関節のRAに対する人工関節置換術は減少傾向にある.本邦でも大関節では同様の傾向がある一方で,手・足の小関節の手術は増加傾向,肘関節の手術には明らかな減少傾向はないとされる.
RA治療の大きな変化はRA手術に対する患者のニーズを変化させ,それに伴って整形外科医が目指す手術のゴールも大きく様変わりしてきた.今回の誌上シンポジウムでは,RA手術の未来と,患者からのニーズが高い手・肘・膝・足の手術について,特に患者満足度を高める手術の現状と未来について経験の豊富な先生方にご執筆いただいた.また薬物療法が主体となった今,患者満足度が向上する整形外科的手術を行うためには内科との連携は必須である.大学に内科・整形外科の合同リウマチ外来を立ち上げられた内科医からの視点でご執筆いただいた.さらに満足度の高い手術を行うには,周術期管理も重要な鍵を握る.それには抗リウマチ薬の適切なマネジメントが必要で,現在までに各種ガイドラインが発表されてきている.薬物マネジメントのエビデンスに基づいたガイドラインの現状と,患者の日常を支えるリハビリテーションについてもご執筆いただいた.
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