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あとがき
吉川 秀樹
pp.108
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200736
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明けましておめでとうございます.昨年末は,3年連続の日本人のノーベル賞受賞が大きな話題になりました.なかでも,生理学・医学賞を受賞された大隅良典先生の自民党本部での講演に,大変感銘を受けました.国公立大学の運営費交付金や私学助成の削減が10年以上続き,短期的成果を求めて出口指向を強める研究に過度に傾きつつある中,大隅先生は,「この状況をとても危惧している」,「技術のためではなく,知的好奇心で研究を進められる大事な芽を大学に残してほしい」と指摘しました.「サイエンスは,どこに向かっているのかがわからないところが楽しいのです.『これをやったらよい成果につながります』と言うのは,サイエンスにとってはとても難しいことです.すべての人が成功するわけではありませんが,チャレンジすることが科学の精神であり,その基礎科学を見守ってくれる社会になってくれることを期待したいです」と強く述べられました.整形外科領域においても,長く歴史に残る業績は,地道な基礎研究の成果に基づいています.大隅先生の言葉は,われわれ整形外科医に対しても,忘れがちな大切なものを再認識させてくれました.
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