整形外科/知ってるつもり
肋骨を用いた円筒状自家骨軟骨移植―肘関節,手指関節の再建
島田 幸造
1
1大阪厚生年金病院整形外科
pp.450-453
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102694
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■はじめに
関節軟骨は関節液の浸透によって栄養される無血管組織であり,いったん損傷されると再生しない.そこで,その損傷を移植などで修復しようとするが,軟骨単独移植では先に述べたその無血管組織という不利な条件から,たとえ自家組織でも生着が難しい.一方,骨軟骨移行部をそのまま移植する自家骨軟骨移植は,軟骨面をその土台である軟骨下骨ごと再建して生着させることができる,現時点で極めて信頼度の高い関節面再建方法である.
肋軟骨は組織学的に関節軟骨と性状が近い硝子軟骨でできており7),また左右に各12本あり,うち1~2本を使っても採取部の障害が極めて少ない.従来から顎関節5)や手指2),手根骨6),肘4,8)など上肢の関節面再建に用いられてきた歴史のあるこの肋骨の骨軟骨移行部を,われわれは確実な生着と関節面の良好な再建を目指して,レシピエント側に円筒状の骨孔を作ってプレスフィットさせる円筒状自家肋骨軟骨移植術を開発し,肘関節や手指関節の再建を行っている9).
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