誌上シンポジウム 高齢者骨折と転倒予防
緒言
糸満 盛憲
1
1北里大学医学部整形外科学
pp.876
発行日 2009年9月25日
Published Date 2009/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101581
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平均寿命が女性で85歳を,男性でも79歳を超える超高齢社会のわが国においても,自ら移動し身の回りの世話ができる健康寿命は75歳以下である.高齢者の転倒・骨折は,医療保険・介護保険費用の増大をもたらし大きな社会問題となってきた.寝たきり・要介護の原因として,脳卒中の25%に次いで骨折・関節疾患を合わせた運動器の障害が21%で第2位と,老衰による13%を大きく上回っている.このうち骨折は10.8%を占め,高齢者の寝たきりの原因として看過できないものである.
高齢者の骨折の要因として骨粗鬆症と転倒が挙げられる.高齢者の寝たきりを防ぐためには骨折,特に移動能力を大きく妨げる大腿骨近位部骨折を予防する,またそのためにはそのリスクファクタである骨粗鬆症の治療と予防,および転倒予防の2つの面から考えて対処することが求められる.すなわち骨を丈夫にする一方,転倒しにくい環境と体を作ることが要求されるが,この誌上シンポジウムでは「高齢者骨折と転倒予防」を取り上げ,その道の専門家に執筆をお願いした.
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