誌上シンポジウム 壮年期変形性股関節症の診断と関節温存療法
緒言
糸満 盛憲
1
1九州労災病院
pp.300
発行日 2012年4月25日
Published Date 2012/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102306
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変形性股関節症は,整形外科の日常診療の中で比較的頻繁に遭遇する疾患である.特にわが国における股関節症は,発育性股関節形成不全(DDH)に起因する二次性のものが80%以上と多く,一次性股関節症と比べて若年発症するのが特徴の一つである.近年femoro-acetabular impingement(FAI)の概念が導入され,欧米における一次性股関節症の原因として注目されるようになる一方,DDHに起因する二次性関節症においてもFAIがあることが明らかになり,わが国においても注目されている.このような現状から,疫学と診断では二次性股関節症の病因と疫学およびFAIを取り上げ,詳細に記述していただいた.
二次性股関節症は,前述したように若年発症であり,股関節の形態異常による負荷の集中と不安定性によって関節軟骨が摩耗・破壊されることが原因となって発症する.したがって前・初期関節症の段階で関節の形態を正常化することによって負荷を分散し,安定した関節を再建することで関節症の進行を防止することが治療の眼目となる.そのために急峻な臼蓋を水平化するとともに被覆を改善する手術が行われる.いかなる手術もその適応を考える際には,侵襲の小さな手技から大きな手技へと考慮していく.ここでは骨性臼蓋で被覆する臼蓋形成術と臼蓋移動術など軟骨性臼蓋で被覆する手技を取り上げた.
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