誌上シンポジウム 運動器リハビリテーションの効果
緒言
星野 雄一
1
1自治医科大学・整形外科学
pp.736-737
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100906
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人類史上未曾有の速度で進行する高齢化社会を迎えつつあるわが国において,老人医療費は20年前の約3倍(12兆円),介護保険費は3年で2倍(6兆円)に急増している.医療費と介護費を合計すると,医療関係費用の実に47%が高齢者に振り向けられていることになる.経済諮問会議における伸び率抑制の政策誘導を待つまでもなく,高齢者の健康増進をはかり,医療費の軽減を目指すことが重点的政策となっているのはあまりにも当然といえる.
このような財政事情の元,主に死亡を抑制することを目的とした「健康日本21」のみでなく,医療費の少ない自立した高齢者を目指す「健康フロンティア戦略」が自民党の政策として平成16年(2004)春にスタートした.この戦略の目標は,今後10年間で健康寿命を2年延伸するというものであり,心身ともに自立して生活できる期間を延ばそうとするものである.介助を要する期間は男性で6.3年間,女性で7.9年間という統計があり(図1),この期間を2年間短縮することにより,高齢者医療費を抑制できるであろうという目論見である.
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