誌上シンポジウム プレート骨接合術―従来型かLCPか
緒言
糸満 盛憲
1
1北里大学医学部整形外科学
pp.428
発行日 2009年5月25日
Published Date 2009/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101502
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
“新しいものはすべてよいものである”との期待を抱くのは,何も患者だけではない.いやむしろこの夢のインプラントを使ってみたいという甘い誘惑に駆られるのは,患者よりも医師のほうであるような気がする.Locking Compression Plate;LCPの出現がまさにそれであり,多くの整形外科医が飛びついた.プレート骨接合術は大きく様変わりし,骨折を取り扱う現場で混乱が生じている.そこで今回は,新しい概念に基づいた角度安定性を有する内固定器internal fixatorとしてのLCPを中心に,従来型との比較における解説を,その道の専門家の方々にお願いした.
新藤先生には,骨折治療における骨折部の安定性の考え方,力学的刺激に対して生体がどのような生物学的な反応を惹起するか,またそれが骨折の癒合過程にどのように影響するかについてわかりやすく解説していただいた.田中先生にはLCPの理論的背景とその有用性をくまなく述べていただいた.しかしこの新しいプレートLCPの理論と実際の使い方についての理解は必ずしも浸透しているとは限らないため,澤口先生にはその適応と正しい使い方について詳細に述べていただいた.佐藤先生と内野先生は,症例を提示しながらピットフォールと適応の限界,従来型のプレートの特徴と適応などについてわかりやすく解説され有益な示唆をいただいた.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.