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あとがき
清水 克時
pp.426
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101501
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春爛漫,満開の桜が咲く校庭.典型的な日本の風景です.欧米などでは9月に新学期を迎えるところが多いようですが,わが国で4月が新学期となった起源は,1886(明治19)年10月に,高等師範学校が学年暦を4月1日からと定め,それが全国の学校に広がってからだそうです.明治のはじめには,欧米にならって9月始まりのところもあったようですが,農業国であったわが国の会計年度を,米の作付けが始まる前の4月で区切るようになりました.それにあわせて,軍隊への入隊時期が4月になります.師範学校の入学が軍隊よりも半年遅いと,優秀な若者が軍や士官学校にとられてしまいます.それではということで,それまで9月始まりだった高等師範学校を,4月始まりに変更したというのが4月新学期になったいきさつだそうです.
ことの起源はともかく,4月新学期が定着したひとつの理由は,この時期が桜の開花と一致していたからではないでしょうか.桜が一度に咲いて,一度に散る様は,卒業から新入学へとつながる人生のドラマとよく合っています.学校のドラマの背景として桜がふさわしいからこそ,4月新学期という伝統が続いてきたのではないかと思います.
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