境界領域/知っておきたい
ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針
名井 陽
1,2
,
松山 晃文
1,3
1大阪大学医学部附属病院未来医療センター
2大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)
3先端医療振興財団先端医療センター研究所
pp.66-69
発行日 2009年1月25日
Published Date 2009/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101439
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■はじめに―再生医療の発展と指針の意義
近年,再生医療による重篤な疾病の治療への期待が高まっている.整形外科領域でも治療の困難な軟骨欠損や難治性骨欠損などに対する治療法として,再生医療への期待は大きい.しかし,幹細胞には科学的にみても医学的にみてもいまだ不明な点が多く,体外増幅による細胞の癌化,未知ウイルスなど感染症伝播の可能性など安全性の問題がすべて解決されたわけではない.また,細胞培養そのものは医学研究の心得が多少ある者にとって決して難しい手技ではないだけに,本当に安全に,そして適切にヒト幹細胞を用いた臨床研究が適正に実施され,再生医療が産業あるいは医療技術として定着するためには,研究者および研究機関が遵守すべき事項について一定のルール作りが必要である.このような事情から「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/iryousaisei01/pdf/01.pdf)が策定された.本指針において,幹細胞の対象はヒト体性幹細胞に限定され,胚性幹細胞は指針の対象とはされていない.本指針は,平成18年7月3日に厚生労働大臣告示として公布され,同年9月1日から施行されている.
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