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文献紹介 ヒトiPS細胞を用いたヒト毛包幹細胞の作製
福田 桂太郎
1
1慶應義塾大学
pp.990
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200044
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毛幹の立毛筋付着部であるバルジ部に存在する上皮幹細胞(EpSCs)は,毛包幹細胞とも呼ばれ,毛包のみならず脂腺や表皮を再生する能力を有し,毛髪疾患や難治性の創傷に対する再生医療への利用が期待されている.EpSCsの細胞表面にCD200,ITGA6が発現していることが明らかとなり,現在セルソーターを用いてEpScを単離することが可能となったが,EpSCsをES細胞やiPS細胞から作り出すことはできていない.
著者らは,ヒトiPS細胞(hiPSCs)を上皮幹細胞様細胞,そしてケラチノサイトへと分化させる従来の培養法を改良し上皮成長因子(EGF)を加えることで,培養11〜18日目に認めるCD200陽性,ITGA6陽性の上皮幹細胞様細胞の割合を従来の方法よりも大幅に増やすことに成功した.この細胞集団(hiPSC-EpSCs)は,CD200陰性,ITGA6陽性の上皮幹細胞様細胞と比較して,高いコロニー形成能を示し,ヒトEpSCsで発現するサイトケラチン15(KRT15)が高発現していた.またhiPSC-EpSCsは,マイクロアレイ解析にて,ヒトEpSCsと類似した遺伝子発現プロファイルをもつことがわかった.
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