書評
「メディカルストレッチング―筋学からみた関節疾患の運動療法」―丹羽滋郎,高柳富士丸,宮川博文,山本隆博●共著
寺山 和雄
1
1信州大学
pp.1033
発行日 2008年10月25日
Published Date 2008/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101386
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この本は愛知医科大学運動療育センターの丹羽滋郎参与,高柳富士丸准教授,宮川博文理学療法士および山本隆博工学士の共著である.まずメディカルストレッチングの代表的な実技を紹介する.
膝関節の伸展制限のある膝関節症の患者さんに対して,従来のストレッチングは膝伸展位,足関節背屈位で上体を前屈する方法が一般的であった.メディカルストレッチングでは,膝関節最大屈曲位として,足関節を最大背屈させる.膝関節の伸展制限は大腿後面にあるハムストリングスと下腿後面にある腓腹筋の拘縮が主体である.これらは二関節筋であるが,メディカルストレッチングの肢位ではハムストリングスの停止部が弛緩した状態で,腓腹筋は主として起始部が弛緩した状態になっている.この状態でストレッチングをかけたとき,ストレッチングが十分にかからないと思われてきた.ところが筋の長さをあらかじめ弛めておくと,ストレッチしたときに筋の緊張が低下しているので,無理なく筋を引き伸ばすことができ,伸展制限が改善されるのである.
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