医学の進歩をになった人々
桂田 富士郎・1
中山 沃
1
1岡山大第2生理
pp.50-52
発行日 1974年7月1日
Published Date 1974/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200509
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腹に水がたまって腹部が膨大する症状のため,水腫脹満病や"はらっぱり"と恐れられた病気が,江戸時代から山梨県下で地方病として存在していた.明治時代にはいり肝臓や脾臓の肥大していることが明らかにされ,肝脾肥大症と呼ばれた.明治37年(1904)岡山医学専門学校の病理学教授桂田富士郎博士が,この病気の原因である寄生虫を発見し,日本住血吸虫と命名し,それ以来この病気は"日本住血吸虫症"と呼ばれることとなった.
大正7年この"日本住血吸虫症に関する研究"によって桂田博士は京都大学の藤浪鑑教授とともに,日本の学界における最高の栄誉である学士院賞を授与された.この研究のほか寄生虫学上の輝かしい業績を残した桂田博士の学勲を記念するため"桂田賞"が設けられ,昭和23年以来毎年寄生虫学に貢献した研究者にこの賞が贈呈されている.
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