書評
MIS人工関節置換術―糸満盛憲,占部 憲,高平尚伸●訳
内藤 正俊
1
1福岡大・整形外科
pp.800
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101113
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膝関節と股関節に対する人工関節置換術は整形外科領域で最も成功し,進歩し続けている代表的な治療法である.米国の統計では1994年に行われた人工関節置換術は合計333,000例(人工膝209,000例,人工股124,000例)であったが,2004年には2倍以上の712,000例(人工膝478,000例,人工股234,000例)になっている(National Hospital Discharge Survey).わが国でも同じ傾向にあり,最近では人工関節置換術を年間数百例以上行う施設が稀ではなくなっている.手術例数の増加とともに手術方法にも工夫や改良が重ねられている.特に最小侵襲手術(minimally invasive surgery:MIS)の概念の導入は,人工関節置換術に新たな発展をもたらしている.
筆者も後側方アプローチによるMIS人工股関節置換術を行っていたが,さらに他のアプローチによるMIS人工股関節置換術の導入を数年前に思い立った.実施に先だって手術に役立つ書籍を検索したが詳しく書かれたものは見出せなかった.そこで,エキスパートのいる施設での見学を計画し,2005年10月に北里大学病院で糸満盛憲教授執刀による仰臥位前方アプローチMIS人工股関節置換術に手洗いさせていただいた.最小の皮膚切開と無駄のない皮下の展開,臼蓋コンポーネントの設置や脚長差のチェックの容易さ,出血量の少なさ,手術時間の短さ,術後のX線で確認された完璧なインプラントのアライメントなど見事なMISに感動したのをよく憶えている.
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