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医学書院発刊の『AO法骨折治療 第2版』の書評の依頼があり,運命的と感じ執筆を引き受けました.その理由は,私が1981年4月から,当時,Otto Russe教授が主催されていたオーストリアのインスブルック大学病院災害外科に留学し,当時はわが国での普及がまだ不十分であったAO法を1年間研修したからです.当時,久留米大学は九州大学出身の宮城成圭教授が主催され,骨折治療は神中,天児式でした.骨接合術の固定器具には天児式プレートなどを使い,AOが提唱する解剖学的整復と頑丈な器具による強固な固定法には批判的でした.インスブルック大学病院着任時は手術助手を数例務め,早々に執刀医を命じられましたが,AO器具の使用経験がなく困りました.スクリュー刺入時にタップを切るなど初体験でしたので,学内の書店で『Manual der Osteosynthese, AO-Technik』を購入し,AOのコンセプトを必死に勉強したのが昨日のことのようです.この本は,日本で翻訳され『図説骨折の手術AO法』として1970年に医学書院から発刊されています.当地で200例を越す手術に携わる中で,AOの原点は,骨折のみを治すのではなく患者を適切に治すことにあるのだと学びました.これは,ヨーロッパの人達の運動器障害と生命とは同等,すなわち,命があっても行動ができなければ生きている意味がないとの考えが根底にあるからであると感じました.したがって,このような国民性に応えなければならない災害外科医の心構えがわが国とは異なることを実感しました.
さて,『AO法骨折治療 第2版』はAOグループ骨折治療マニュアルとして世界に発信されたシリーズの第4弾で,世界展開中のAOコースの内容をさらに学術的に深く掘り下げたものです.本書の冒頭に,糸満北里大学名誉教授をはじめAO Alumni Association Japan Chapterの役員一同が,21世紀の外傷治療学のバイブルともいえる第4弾の翻訳を受け持ち,興奮を覚えながら完成させたと述べられています.
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