連載 確認したいオリジナル・7
足底を指でくすぐっても確認できるBabinski反射
鳥巣 岳彦
1
1九州労災病院
pp.707
発行日 2007年7月25日
Published Date 2007/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101095
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医学部4年生は平成17年度から,全国共通の“共用試験”に合格しなければ,進学できなくなった.“共用試験”では学生の診察実技能力が他大学の教員によって評価される.診察法でBabinski反射は習熟すべき必須の診察手技である.「先がやや尖った鍵か安全ピンで,足裏の外側を踵から小趾に向かってこすり,遠位で母趾のほうに曲げる.母趾の基部までは擦らないがよい」とまでBabinski反射の調べ方が神経学の教科書に記載されている.
整形外科実習にきた学生の前で,頚椎症性脊髄症患者の足裏を“くすぐり”,母趾が背屈する現象を示して“Babinski反射が陽性だよ”と教えても,“手技が違いますよ”といつも反発された.
Babinskiが「ある種の神経疾患患者の足底の皮膚を刺激すると,健常者とは異なり,足趾が緩慢に中足骨に対して背屈する」との観察結果とその意義にかんする歴史的な発表を行ったのは1896年である.その2年後の論文の321頁には,「ある種の病的状態では,感度は劣るが足裏を“くすぐる”だけで母趾の背屈運動が起こる」ことが記載されている.
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