ここが知りたい 臨床医のためのワンポイントレッスン
腹腔穿刺のコツは
福島 恒男
1
I. H.
1横浜市立大学第2外科
pp.1275
発行日 1984年9月20日
Published Date 1984/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208805
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A; 腹腔穿刺は腹腔内に液体や血液の貯留があるかどうかを確かめる診断的意義とそれを除去する治療的意義を持っている.腹腔内に液体,血液が貯留しているかどうかは腹部打診による濁音界の出現,波動の有無,腹部X線写真における結腸旁溝の拡大,超音波診断装置で隔壁のないaechoicな領域と底面echoの増強所見などで診断出来る.しかし貯留液の性状は穿刺してみないと実際には分らない.対象となる疾患は癌の腹膜播種,細菌性腹膜炎,肝硬変,ネフローゼ,蛋白漏出性胃腸症,結核,膵炎,胆道疾患,フィラリヤなどと,腹腔内出血をきたす疾患には外傷による肝損傷,脾損傷,腸間膜血管損傷,術後の出血,婦人科的疾患として卵管妊娠中絶,卵巣出血などがある.
これらの基礎疾患があり,諸検査で腹腔内に液体貯留が認められる場合に腹腔穿刺を行うが,広範な腸管癒着が疑われる場合,腸管の膨満のある場合,限局性腹腔内膿瘍などの際には穿刺に十分注意しなければならない.
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