綜説・今月の臨床
手術侵襲の評価
小川 道雄
1
Michio OGAWA
1
1熊本大学医学部第2外科
pp.511-518
発行日 1995年4月20日
Published Date 1995/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905196
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Ⅰ.はじめに
手術は生体に損傷を与える.この損傷には出血挫滅,阻血,機能障害など多くの病態が含まれる.ミクロのレベルでみれば,損傷は生体組織,細胞の破壊である.手術をはじめとして,外傷,熱傷ショックなどは生体に損傷を与えるが,これを広く侵襲,ないし生体への侵襲とよんでいる.一方生体は,侵襲に対して内部環境を回復して生き抜くための反応を起こす.その結果,呼吸,循環,代謝,内分泌,免疫など種々の機能に大きな変化が起こる.この生体の恒常性を保つための反応が生体反応である.
生体反応が生体に負担を強いることを考えるとき,手術侵襲はできるだけ小さいことが望ましい.異なる術式があるとき,われわれは結果が同じなら,侵襲の小さいほうの術式を選択する.そこで,手術侵襲を客観的に定量することが求められる.本稿では,手術侵襲の評価について,その現状を展望してみたい.
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