忘れえぬ人びと
頸動脈毬悪性腫瘍
榊原 宣
1
Noburu SAKAKIBARA
1
1十全会心臓病センター榊原病院
pp.1123
発行日 2002年8月20日
Published Date 2002/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904953
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東京女子医大外科から,その後の経過について数回報告をいただいた.転院後間もなく,手術瘢痕部に腫瘤を生じてきた.2〜3週後には手術瘢痕中央部は軟化,開口した.潰瘍は次第に大きくなり,気管,食道,および頸動脈が露出した.11月に入ると激しい背痛を訴えるようになったので,胸椎X線写真を撮影したところ,第11胸椎に転移を認めたとの連絡があった.11月下旬には食道穿孔が起こり,食道瘻を形成したとのことであった.12月1日,頸動脈穿孔が起こり,出血多量のため不幸な転帰をとることとなった.
これより先,転送から帰学したところ,頸動脈毬悪性腫瘍は稀な疾患であるから症例報告するようにとの指示があった.症例報告とはどんなものかわからなかった.はじめ同僚に相談してみると,同期生で症例報告したものはなく,とにかく先輩に指導してもらったらよいだろうということであった.
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