Japanese
English
特集 外科と消毒と感染予防
閉腹時の創処置
Surgical technique in the closure of abdominal incisions
榎本 武治
1
,
小森山 広幸
2
,
萩原 優
2
,
田中 一郎
2
,
山口 晋
1
Takeharu ENOMOTO
1
1聖マリアンナ医科大学消化器外科
2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院外科
キーワード:
創感染
,
閉腹
,
皮下ペンローズドレーン
Keyword:
創感染
,
閉腹
,
皮下ペンローズドレーン
pp.1227-1231
発行日 2001年9月20日
Published Date 2001/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904571
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術後の創感染を防ぐべく,縫合糸の選択や創面の処置の仕方など各施設で種々試行されているが,創感染の発症を完全に抑えるには至っていない.閉腹に用いる縫合糸が感染の原因となる可能性は少ないが,抗張力が強く組織刺激性がなく感染に抵抗性である吸収性の合成素材の糸がよい.縫合は腹膜と筋膜を1層とし,幅広く縫い代をとるmass closureが推奨されている.その運針法には単結節縫合と連続縫合があり,おのおのの特徴がある.創面の処置では消毒薬での擦過や抗菌薬の塗布を行っているが,その有効性に関しては疑問視されている.創面の生理食塩水での十分な洗浄が創感染の防止に有益である.筆者らの術中細菌汚染と術後の創部皮下膿瘍の発生についての検討では,両者間に直接的な関係は見いだせなかった.また,皮下ペンローズドレーンの留置は創部皮下膿瘍発生率を有意に減少させることが明らかとなった.
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