投稿論文 工夫
小児の頭皮手術における閉創時の工夫
西村 恵里子
1
,
吉岡 直人
,
大村 奈々穂
,
日笠 壽
,
久保 盾貴
1大阪警察病院 形成再建外科・美容外科
キーワード:
形成外科
,
術後合併症
,
脱毛症
,
頭皮
,
頭皮疾患
,
瘢痕
,
縫合法
,
母斑-色素性
,
真皮
,
母斑-脂腺
,
帽状腱膜
Keyword:
Alopecia
,
Suture Techniques
,
Scalp
,
Scalp Dermatoses
,
Nevus, Pigmented
,
Postoperative Complications
,
Cicatrix
,
Plastic Surgery Procedures
,
Nevus, Sebaceous of Jadassohn
,
Dermis
pp.1498-1504
発行日 2021年12月10日
Published Date 2021/12/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2022078745
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瘢痕を最小限にするために、頭皮の切開法、縫合法の工夫を行った。対象は、当センターで頭皮の手術を行った189例(性105例、女性84例)とした。手術となった疾患は脂腺母斑が150例と最も多く、色素性母斑26例、先天性頭皮欠損7例、瘢痕性脱毛7例、その他8例であった。全切除が171例、部分切除が4例、ティッシュ・エキスパンダーで皮膚を拡張した後に腫瘍を切除したものが14例あった。合併症としては、糸の露出9例、減張切開部分の脱毛2例、創離開2例、縫合糸膿瘍2例を認めた。皮膚切開時は、できるだけ毛根を温存するように楔状に切開を行った。また、帽状腱膜の減張切開を行った部分よりやや内側創縁より5~10mmの位置を3-0ナイロン糸で縫合した。創の緊張が少ない場合は、創縁より5~10mmの位置を縫合することで盛り上げて縫合しているが、創の緊張が強い場合、無理に創縁より遠い位置を縫合せずに、創縁が寄るぎりぎりの位置で埋没縫合し、糸もより太い2-0ナイロン糸を用いることがある。糸の露出は、抜糸を行うか自然脱落を待ったが瘢痕幅に影響はなかった。減張切開部の脱毛は術後1ヵ月程度で認めたが、術後6ヵ月では改善していた。創部をぶつけたという2例に創離開を認めた。保存的に創部は閉鎖したが、瘢痕幅がやや広くなった。縫合糸周囲に炎症を起こすものがあったが、縫合糸を抜糸することで改善した。術後瘢痕はおおむね目立たなかったが、一部の例で瘢痕幅が広いものが見られた。
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