メディカルエッセー 『航跡』・38
病院の安全危機管理(2)—合同委員会認定基準
木村 健
1
1アイオワ大学医学部外科
pp.86-87
発行日 2000年1月20日
Published Date 2000/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904007
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ニッポンでは,病院や医院など医療施設の規準やケアは,厚生省が監視,規制,査定するのが常識である.アメリカではこの公的な任務を一民間団体に過ぎない医療施設認定合同委員会(JCAHO,以下,合同委員会と略す)にまかせている.一方では官の直轄の公務とされる任務が,他方では民間に委任され,いったいその責務は立派に果たされるのだろうか.認定というものには,まず一定の基準を設け,それに満たぬものに対し,何らかのペナルティを加えることによって,効力を保つことができる.ペナルティのない認定は,単なるコンテストであって,実効力を持たない.厚生省は医療施設に対し,設備やマンパワーに不都合があると施設としての認可を取り消す権限を持っている.
一方アメリカの合同委員会は,認定する施設に対して許認可権は一切持っていない.施設側からの随意のリクエストに応じて,一定の査定料を受け取り,規定に従って施設としての適否を評価し,認定の合否を決めるだけである.認定の結果は情報の開示のルールに従い,アクセスするものには誰にでも公開されている.医療の質は地域住民の健康維持や生死に関わることである.住民は知る権利を行使して,自分のかかっている医療施設のレベルを知ることができる.合同委員会の認定の結果は医療費支給本部に報告される.これを受けて公私の医療費支給団体は,認定に不合格の病院やクリニックの活動に対し,医療費の支払いを拒否する.
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