特集 病院におけるIT化の新局面
【医療のIT化 最近の事例集】
患者安全と病院経営に必要となるコード・バーコード標準化
酒井 順哉
1
1名城大学大学院都市情報学研究科保健医療情報学
pp.1021-1025
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101077
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特定機能病院および一部の民間病院において,2003年4月から診断群分類・包括評価(DPC : Diagnosis Procedure Combination)の導入が始まり,診療報酬請求が出高払い制から包括払い制への移行に伴って,クリニカルパス(Clinical Pathway)を積極的に導入し,医療材料のスリム化とともに,入院在院日数を短縮することが病院経営向上のための不可欠な条件となった.
病院経営において医療材料の支出の抑制は重要であり,医療の特殊性から少量多品種の傾向にあるため,院内在庫量の継続的なチェックを行いながら,在庫金額から在庫回転率(=出庫金額/在庫金額),在庫回転期間(=在庫金額/月平均出庫金額)を算定し,ABC分析などの手法で適正な最小限の安全在庫数量を決定できる医療材料物流管理システム導入が不可欠である.しかし,従来の医療材料物流管理システムは,医療材料の入出庫・棚卸しを中心とする在庫管理や,患者に使用した医療材料を医事会計システムに役立てる運用をその主な目的に発展してきたため,医療材料単品のフロー(流れ)を把握し,患者安全の確保や診療業務の評価を行うには不適当であった.
今回,オーダリングシステムや電子カルテシステムで発生する「もの」の流れのリアルタイムな把握を医療材料物流管理システムで連動させることで,患者安全の確保や病院経営の向上を可能にする考え方を提案するとともに,それに必要となる標準バーコード(GS 1-128)と医療機器データベースの活用の意義について述べる.
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