カラーグラフ 消化器の機能温存・再建手術・15
肛門括約筋温存直腸切除術後のJ型結腸嚢再建術
大矢 正俊
1
,
赤尾 周一
1
,
中村 哲郎
1
,
高瀬 康雄
1
,
廣瀬 清貴
1
,
岩瀬 直人
1
,
石川 宏
1
,
黄海 文昌
2
Masatoshi OHYA
1
1獨協医科大学越谷病院外科
2獨協医科大学越谷病院医学総合研究所越谷共同利用部門
pp.1389-1393
発行日 1999年11月20日
Published Date 1999/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903946
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はじめに
直腸癌に対する肛門括約筋温存術は癌肛門側のsafety marginに関する知見の集積や,器械吻合法・経肛門吻合法などの再建手技の発達に伴い,上部・中部直腸癌だけでなく,下部直腸癌の多くにも施行されるようになってきた,しかしながら,肛門括約筋温存術後には,頻回排便やsoiling,便意促迫などの排便機能障害の症状がしばしば発生し,術後QOLの観点から大きな問題となっている.
肛門括約筋温存術後の排便機能障害の原因の1つが直腸膨大部切除に伴う便貯留能の低下であることから,Lazorthesら1),Parcら2)は結腸を側々吻合して作製したJ型結腸嚢をneorectumとすることで術後の便貯留能改善をはかる再建法を提唱した.その後,J型結腸嚢再建は従来のストレート型再建よりも術後排便機能が良好であるとする無作為試験の成績も報告され3,4),J型結腸嚢再建は今日では肛門括約筋温存術後の標準的再建法の1つとして確立されつつある.
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