特集 薬物療法マニュアル
Ⅵ.感染症の薬物療法
2.全身的感染症
破傷風,ガス壊疽
山崎 元靖
1
,
田熊 清継
2
,
青木 克憲
1
,
相川 直樹
1
Motoyasu YAMAZAKI
1
1慶應義塾大学医学部救急部
2済生会神奈川県病院救急部
pp.368-369
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903886
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破傷風
破傷風は局所に感染した嫌気性菌である破傷風菌Clostridium tetaniの産生する外毒素tetanospas-minの神経系への作用により発症する重症感染症である.C.tetaniは土壌に生息し,通常外傷により創部から侵入する.主な症状は開口障害,痙攣,腱反射亢進,呼吸困難,窒息などを呈する.死亡率は30%に達するが,外傷歴不明例が1/4にみられるため,本疾患は予防に重点が置かれる.潜伏期は2日〜8週間であり,一般的に感染から発症までの時間が短いほど,また開口障害から全身痙攣までの時間(onset time)が短いほど予後が悪い.治療は開口障害などの所見があり,破傷風を疑った時点で開始しなければならない.経過中の多彩な症状に対処するため,集中治療室での管理が望ましい.
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