特集 薬物療法マニュアル
Ⅵ.感染症の薬物療法
2.全身的感染症
HIV感染症
細野 治
1
,
森本 幾夫
1
Osamu HOSONO
1
1東京大学医科学研究所ウイルス疾患診療部
pp.365-367
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903885
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基本的な事項
HIV感染症は性行為により感染した日本人男性の増加傾向が続いており,最近の特徴は後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症してHIV感染がわかる症例が増えていることである.このことは,感染者自身もHIV感染していることを知らないことによる2次感染の増加の危険性を示唆している.そして医療現場ではHIV感染者の診療の機会や医療従事者の針刺事故などによるHIV曝露の危険性が増加している.HIV感染症における薬物療法はHIVに対する抗ウイルス療法とAIDS指標疾患の治療とそれらの発症・再発予防が中心になる.抗HIV薬としてプロテアーゼ阻害剤が出現し,生命予後の改善やAIDS発症の減少が見られ,日和見感染症・腫瘍に対する薬物療法から抗HIV薬によるHIVの複製抑制,免疫能の回復に治療の中心が移っている.
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