増刊号 Common Disease 200の治療戦略
感染症
破傷風
飯国 弥生
1
1北里大学医学部内科
pp.532-533
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904193
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疾患概念と病態
有芽胞嫌気性グラム陽性桿菌(Clostridiumtetani)が産生する外毒素(tetanospasmin)により起こる.破傷風菌は芽胞を形成し,酸素,湿度,高温度に抵抗を示す.土壌,肥料,埃などに生息し,時にヒトの皮膚・腸管などでもみられる.外傷,稀に分娩で感染する.外毒素は運動神経線維を伝達し,脊髄,中枢神経に到達し,横紋筋の硬直と痙攣を特徴とする.また自律神経に作用し,カテコールアミンの増加に伴う交感神経過緊張症状がみられる.潜伏期間は3日〜2カ月で,2週間以内が多いが,1/3は受傷の既往がない.
臨床経過は4期に分けられ,①第1期(全駆期):肩こり,受傷側の手足の緊張感など,②第2期(onset timeで開口障害から全身痙攣出現までの期間):開口障害,嚥下痛・障害,発語障害,痙笑など.③第3期(痙攣発作期):後弓反張,排尿・排便障害,呼吸困難など.④第4期(回復期):痙攣は消失し,筋硬直は残るが徐々に回復する.重症では交感神経過緊張による不安定な高血圧,頻脈,不整脈,高熱,多汗,唾液分泌亢進などがみられる.意識は清明で,知覚障害はないが,痙攣のための強い痛みがある.
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