特集 薬物療法マニュアル
Ⅴ.悪性腫瘍の薬物療法
膵臓癌
島村 弘宗
1
,
渋谷 和彦
1
,
江川 新一
1
,
砂村 眞琴
1
,
武田 和憲
1
,
松野 正紀
1
Hiromune SHIMAMURA
1
1東北大学医学部第1外科
pp.341-342
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903877
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
膵癌は消化器癌の中でも最も予後の悪い癌の1つであり,拡大郭清手術1)の導入によって切除率は向上しているものの,長期生存は未だに得難いのが現状である.特に切除不能症例に対しては確立された治療法はなく,全国集計2)では1年生存率がわずかに10%を超える程度である.膵癌の予後改善のためには治癒切除を得ることが必要条件であり,外科的治療の役割は大きい.しかし,化学療法や放射線療法など他の治療法を組み合わせた集学的治療なくして長期生存例を得ることはできない.“膵癌の薬物療法”としては化学療法の他に放射線療法に併用する放射線増感剤や,免疫療法としてのLAK療法で用いるinterleukin−2(IL−2)なども含まれるが,本稿では化学療法に的を絞り,現在膵癌に対して施行されている化学療法の実際について概説する.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.