特集 薬物療法マニュアル
Ⅴ.悪性腫瘍の薬物療法
消化管悪性リンパ腫
小野 裕之
1
Hiroyuki ONO
1
1国立がんセンター中央病院内科
pp.343-345
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903878
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基本的な事項
悪性リンパ腫はリンパ組織から発生する腫瘍であり,リンパ組織の構成細胞であるTおよびBリンパ球,さらに単球,マクロファージ系など網内系細胞起源の腫瘍の多くがリンパ腫のカテゴリーに入る.組織学的には大きくホジキン病(Hodgkin's disease)と非ホジキン病(non-Hodgkin's disease)に分類され,また発生部位別にリンパ節から発生する節性リンパ腫とその他の臓器から発生する節外性リンパ腫に分けられる.消化管原発の悪性リンパ腫は節外性リンパ腫に分類され,その大半は非ホジキン病かつBリンパ球性である.頻度としては消化管悪性リンパ腫は全リンパ腫の約10%を占め,そのうち胃原発のものが約60〜80%と最も多く,次いで小腸(15〜30%),大腸(10〜20%)の順となり,食道原発はきわめて稀である.また,消化管腫瘍に占める悪性リンパ腫の割合は全体で1〜2%,胃では1〜4%,小腸で20〜40%,大腸で0.1〜0.7%とされている.
また,Isaacsonらが提唱した胃MALTリンパ腫は,本邦で従来RLHとされていたものの一部とdiffuse medium cell悪性リンパ腫とされていたものの一部を含む疾患概念であり,H. pyloriとの関連が強く示唆されている1).
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