特集 薬物療法マニュアル
Ⅲ.周術期の薬物療法
4.要注意状態の患者
女性患 者月経中の患者
朝倉 武士
1
,
山口 晋
1
Takeshi ASAKURA
1
1聖マリアンナ医科大学消化器外科
pp.218-220
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903832
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はじめに
月経は一般的には一定周期をもって反復する子宮内膜からの出血を示す.性周期おける卵胞期にはエストロゲンが,また黄体期にはエストロゲンとプロゲステロンが増加するが,これらのホルモンは直接的あるいは間接的に全身的変化を誘導する.一般にprostaglandins(PGs)の産生はエストロゲンにより刺激され,プロゲステロンで抑制される.特に黄体期末から月経時にかけてのエストロゲンあるいはプロゲステロンの分泌異常により,PGs産生も大きく変化する.月経中子宮内膜はPGsの産生能が高く,全身状態の変化として血管の攣縮,毛細血管脆弱性の亢進,皮膚・粘膜の水分貯留・浮腫,糖代謝異常,およびpro-thrombin低下をはじめとする血液成分の変化などを認める.これらの多くはPGs系作用ばかりでなく,自律神経系の作用の関連が深い1).このように,全身性変化に随伴し臨床的問題が起こりうるので,外科治療にあたり,月経前・月経中の患者に対し十分な注意が必要である.
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