特集 薬物療法マニュアル
Ⅲ.周術期の薬物療法
2.緊急手術
下肢動脈血栓症
折井 正博
1
Masahiro ORII
1
1東海大学医学部外科
pp.194-196
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903824
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基本的な事項
下肢の急性動脈閉塞症は原則的に緊急手術を必要とする疾患であり,治療の遅れは肢の切断に直結するのみならず,死を招くことも稀ではない.閉塞の主たる病因は塞栓症と血栓症である.塞栓症は心房細動に伴い左房内に生じた血栓に起因する例が最も多く,この場合診断は比較的容易で,早期の塞栓摘除術が良好な結果をもたらす.
下肢動脈血栓症の原因は様々であるが,緊急手術の適応となるのは動脈硬化性の狭窄部に血栓を生じて急性閉塞をきたした場合,およびバイパス術後のグラフト閉塞が多い.膝窩動脈に関しては粥状硬化性動脈瘤の血栓性閉塞,膝窩動脈捕捉症候群あるいは外膜嚢腫による狭窄部の血栓性閉塞など特殊な例もあり,鑑別診断を要する.その他,膠原病やBehçet病における血管炎や多血症も血栓症の原因となるが,これらでは血行再建術の適応困難な末梢の動脈が閉塞することが多い.
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