病気のはなし
下肢深部静脈血栓症
一色 郁子
1
,
村田 満
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.1232-1234
発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906014
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新しい知見
最近特に注目されているのは深部静脈血栓症のリスクとしてのfactor V Leiden(APC resistance)である.活性化プロテインC(activated protein C;APC)は凝固第V,VIII因子を不活化することにより抗凝固活性を有する.血漿にAPCを添加すると凝固時間が延長するが,1993年Dahlbackらは血漿にAPCを添加してもAPTT(activated partial thromboplastin time,活性化部分トロンボプラスチン時間)が正常に比べ十分に延長しない家族性の血栓傾向を報告し,APC resistance(APCレジスタンス)と呼んだ.APC resistanceの原因は凝固第V因子のDNA 1691G-A変異の結果,アミノ酸506Arg-Gln変異をきたしAPCの基質であるV因子の分解が阻害されるためと説明されている.APC resistanceは欧米での静脈血栓症の主要な原因であり,その頻度は20〜60%に上るが,日本ではこの変異は1例も報告されておらず,その頻度には人種差が大きいとされている.
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