特集 薬物療法マニュアル
Ⅲ.周術期の薬物療法
1.予定手術
腹腔鏡下手術
松本 純夫
1
Sumio MATSUMOTO
1
1藤田保健衛生大学附属第2教育病院外科
pp.164-165
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903812
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はじめに
腹腔鏡下手術は腹腔内へ挿入した内視鏡観察下に鉗子を操作して行うもので,手術に必要なスペースを作るのに炭酸ガスを腹腔内へ注人する気腹法と腹壁吊り上げ法がある.気腹法では気腹圧にもよるが,腹腔内圧上昇により肝臓や消化管の血流が減少する.さらに下大静脈経由の静脈還流も減少するため下肢深部静脈血栓症が生じる可能性がある.歩行開始時に血栓が遊離し,致命的な肺梗塞を突然発症することがある.このような事態を回避するために凝固・線溶系をチェック,凝固系の過度の亢進がないようにコントロールすることが肝要で,腹腔鏡下手術の薬物療法のポイントはここにある.
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