特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
7.大腸
大腸亜全摘術後の回腸パウチの縫合・吻合
楠 正人
1
,
荘司 康嗣
1
,
柳 秀憲
1
,
山村 武平
1
Masato KUSUNOKI
1
1兵庫医科大学第2外科
pp.254-256
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903388
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はじめに
回腸パウチは直腸切除後に低下したreservoircontinenceを補う目的で,代用直腸として発展した手法である.特に,潰瘍性大腸炎や家族性大腸ポリポーシスに対して行う全結腸切除,直腸粘膜切除,J型回腸嚢肛門吻合術(IPAA:ileal Jpouch anal anastomosis)においてはJ pouchを歯状線に吻合してもcontinenceが十分保たれることから,その有用性は疑問の余地がないと言える1).IPAAの手術では大腸粘膜の完全切除が行われることから,確実な治療効果は得られるものの,分割手術が必要であり,直腸粘膜切除の手技的困難さも伴うために,staplerを用いたIPACA(ileal J pouch anal canal anastomosis)は欧米を中心に広く行われるようになってきた2).これは基本的に直腸癌に対する低位前方切除術におけるdouble stapling techniqueの応用である.直腸粘膜切除を行わないので,術後長期における疾病の再燃や癌化は問題になるものの,一期的手術が可能であり,十分なメリットはあると考える.本稿では,このIPACAについて記述する.
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