膜の解剖からみた消化器一般外科手術・9
直腸癌根治術・自律神経温存手術
金谷 誠一郎
1
1国立姫路病院・外科
pp.1181-1192
発行日 1998年9月20日
Published Date 1998/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903284
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はじめに
癌に対する手術では,腹膜下筋膜に包まれた層を1つの区画と考え,腫瘍の存在部位・リンパの流れ(主流・副流・亜流)を踏まえて,転移リンパ節+αの郭清を心掛ける必要がある.そのためには,(1)腹膜下筋膜に包まれたままでの臓器の摘出が基本であり,それが不可能な部位では,(2)腹膜下筋膜のなかの世界で,神経の存在に注意しながら温存すべき血管や臓器を取り扱い,リンパ節郭清を進めなければならない.
直腸癌の手術では,下腹神経や骨盤神経叢を周囲組織とともに温存する自律神経温存手術が上記の(1)の操作に相当し,骨盤内における側方郭清や大動脈周囲リンパ節郭清を行う拡大郭清術が(2)の操作に相当する.今回は直腸癌根治術の手術の実際として,(1)の操作が主体となる自律神経温存手術の解説を行う.
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