Japanese
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特集 大腸癌治療のフロンティア
直腸癌の片側自律神経温存手術
Unilateral autonomic nerve preserving procedure in rectal cancer surgery
山田 一隆
1
,
鮫島 隆志
1
,
鮫島 淳一郎
1
,
島津 久明
1
Kazutaka YAMADA
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.1157-1163
発行日 1992年9月20日
Published Date 1992/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900882
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直腸癌手術における自律神経温存の手技には,全温存法,片側温存法,片側部分温存法などがある.いずれの方法によっても術後排尿障害はほとんどみられず,従来の術式と比べて大きな利点をもっている.自験例の成績より,術後の膀胱造影所見による後方扁平化と膀胱尿道角の変化は直腸切断操作に伴うもので,排尿機能障害との間に直接の因果関係は認められなかったが,内尿道口開大と膀胱壁不整は排尿機能障害と密接に関連し,自律神経損傷に起因するものと考えられた.自律神経温存手術後の性機能障害の発現頻度も従来の術式の施行後より低率であり,また全温存法に比べて片側温存法における発現はやや高頻度であったが,有意の差異はみられなかった.
適応基準に関しては,全温存法はリンパ節転移陰性でかつ壁深達度がpmまでの症例,片側温存法は周径が半周以下の腫瘍が左右いずれかに局在し,壁深達度がa1以下の症例を対象とするのが妥当と考えられた.片側自律神経温存手術は,両側温存より高い根治性を求めた機能温存手術として有用である.
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