臨床外科交見室
「グリソン一括処理」をめぐって
佐藤 裕
1
1福岡赤十字病院外科
pp.91
発行日 1998年1月20日
Published Date 1998/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903086
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肝切除はその一面において“出血との闘い”と言って過言ではない.従来より肝外傷に対する治療の一環として様々な止血法(集束結紮,組織充填,焼灼など)が考案され,これらが肝切除に際しての出血制御に臨床応用されてきた.また肝硬変を合併しその肝予備能が低下した患者においては,その予備能に見合った切除術式を行う必要がある.そこで,従来の非定型的切除や部分切除術に替わって登場したのが,幕内氏が提唱した「術中超音波検査を駆使した系統的亜区域切除術(US-guided subsegmentectomy)」であり,その臨床的有用性から広く普及している.
かくのごとく,肝をその区域ないし亜区域のレベルで解剖学的に正しく“系統的に”切除するには,相応の経験と熟練したテクニックを必要とするのである.また,手術器械の面では,近年になり超音波メスやマイクロウェーブ凝固装置などが導入され,プリングル操作などを組み合わせることにより,実際に肝実質に切り込んでいく際の出血はかなり減少してきた.
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